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記事2003年12月13日 1919号 (1面) 
三位一体の改革 文科省二、六四〇億縮減
私学助成当面枠外
高校等経常費助成なお厳しく
  政府・与党は十二月十日、三位一体改革の初年度として平成十六年度予算から総額一兆円の国庫補助負担金を廃止・縮減することを決めた。このうち文部科学省は、約二千五百億円(既に決まっている奨励的補助金の五%削減等を加えると二千六百四十億円)を廃止・縮減する。廃止・縮減項目に私立高校等への国庫補助はないが、奨励的補助金には同補助金も含まれる。奨励的補助金の削減は同省予算全体の中で行われるため、私学助成の削減が決まったわけではないが、依然厳しい環境に変わりはない。

 文部科学省は政府の三位一体の改革に際して、義務教育費国庫負担金のうち退職手当・児童手当にかかわる約二千三百億円について適切な地方財政措置が確実に行われることを前提として一般財源化を図る方針を決めたが、更に百九十億円から二百億円の追加削減を求められた。追加分に関して同省は、(1)地域・家庭教育力活性化推進費補助金(三十三億円)(2)情報教育等設備整備費補助金(七億円)(3)教員研修事業費等補助金(スクールカウンセラー、十年経験者研修等を除く)(四十億円)(4)公立大学等設備整備費等補助金(七億円)(5)公立学校施設整備費補助・負担金(百五億円)を提示、廃止・縮減の総額を二千四百九十二億円とした。
 これら五項目に私立学校関連の予算項目は含まれていない。しかし総務省は地方の自由度拡大につながらない退職手当等の一般財源化には反対を表明、代わって(1)特定目的ごとに文部科学大臣が定める「加配」教職員に係る国庫負担金(千九百億円)(2)「学校事務職員」に係る国庫負担金(千二百億円)――合わせて三千百億円の見直しを提案した経緯がある。
 文部科学省はこの提案に反対、公立義務教育学校団体、教育委員会団体、教育長団体、PTA団体等も義務教育費国庫負担制度の先行きに危機感を強めており、十二月十一日に「義務教育費国庫負担制度の堅持を求める緊急集会」を国会近くの憲政記念館講堂で開催、国会議員をはじめ関係方面に義務教育の危機を訴えることにしている。
 三位一体の改革に関しては、全国知事会などは「私立高等学校等経常費助成補助金」を廃止すべき補助金に挙げていた。三位一体の改革は十八年度まで続くことから、なお私学助成は厳しい環境に立たされている。
 同補助金が一般財源化されると、私立学校振興助成法ができる以前のように、各都道府県間で助成額に大きな開きが生じるばかりか、私学予算が県内で他の事業に流用され、助成額そのものが減額していく可能性も出てくる。地方財政の悪化から既に私学助成額の削減を私学側に打診している県もあり、県内教育では少数派の私立学校は予算面でさらに厳しい立場に置かれかねない。
 また保護者の負担する教育費は公費支出額の違いなどから高校の場合、六倍近い(初年度)格差が生じており、国民に多様な教育を提供する機会が教育費の面から狭められる結果となっている。
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