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記事2003年3月13日 1883号 (1面) 
中央教育審議会 答申案まとめ20日に文科相へ提出
私学振興を基本法へ
私立校の重要性位置付け
振興計画にも盛り込む
  新しい時代にふさわしい教育基本法や教育振興基本計画の在り方を審議している中央教育審議会(鳥居泰彦会長=慶應義塾学事顧問)は、三月十日、東京都内のホテルで総会と基本問題部会の合同会議を開き、答申案をほぼ取りまとめた。三月二十日に遠山敦子文部科学大臣に答申の予定。
 今後は文部科学省による法案作りが行われ、四月以降、今国会に提出の予定。また教育振興基本計画に関しては、中教審の関係分科会等で具体的な政策目標や施策などが検討される。さらに教育基本法の改正を受けて学校教育法等の法案の改正をどうするかも今後、関係分科会等で検討される予定。十日の答申案時点の、私立学校教育に関する記述については、教育基本法の在り方の中で、「私立学校は、幼稚園から大学・大学院までの学校教育全体にわたって、わが国の公教育の重要な一翼を担っている。その果たしている役割の大きさにかんがみ、学校の役割について規定する際には、その重要性についても十分に踏まえる必要がある」としている。教育基本法の四条に規定される見通し。
 また教育振興基本計画に関しては、「わが国の教育において私立学校が果たす役割の重要性にかんがみ、私学助成等を通じた良好な教育環境の整備を図り、特色ある教育を展開する私立学校の振興を図る」としており、さらに参考として例示された政策目標の中にも、信頼される学校教育の確立の項の中に「私立学校における独自の建学の精神に基づく特色ある教育と多様な教育研究の振興を図る」と記載されている。三月六日の合同会議の段階でこの私学に関する記述は大学改革の推進の項に書かれていたが、私学には幼稚園から大学まであるので誤解を招かないようにすべきだとの意見があり、信頼される学校教育の確立の項に移動となった。
 答申案は「はじめに」「第一章 教育の課題と今後の基本的方向について」「第二章 新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方について」「第三章 教育振興基本計画の在り方について」からなっている。三月六日の答申取りまとめ案と比べて、第一章では高等教育の分野で教育基本法改正の理由として、「大学における過度に専門分化した教育研究と現実社会との乖離、わが国の大学の国際競争力の弱さなど」が追加記述されたほか、六日の段階では外国の文化・伝統の中には尊重できないものがあるとして、伝統、文化の取り扱いが問題となったが、十日の答申案では日本の伝統、文化については理解し尊重する、外国の伝統、文化については理解し敬意を払うと整理された。
 豊かな心と健やかな体を備えた人間の育成に関しては、人間の力を超えたものに対する畏敬の念に関して、オカルト的なものと混同されないよう定義を明確化するか、削除すべきだとの意見もあったが、誤解を招かないよう表現を工夫し残すべきだとの意見も複数の委員から聞かれた。

家庭教育も新たに規定

 このほか教育基本法の在り方に関しては、義務教育について引き続きその期間を九年とし、授業料は無償とするよう規定することが適当で、学校の設置者の具体的な範囲については、引き続き公共性、安定性、継続性を担保する能力が求められているとして、引き続き現行法と同様に規定することが適当としている。家庭教育に関しては新たに役割を規定すること、宗教に関しては寛容な態度や知識、意義などを尊重することが重要で、その旨を適切に規定することが適当だが、国公立学校における特定の宗教のための宗教教育や宗教的活動の禁止については、引き続き規定することが適当としている。振興計画に関しては、私学における教育研究振興のほか、確かな学力の育成、良好な教育環境の確保、教育の機会均等の確保、良好な就学前教育環境の整備等を提言している。
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