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記事2003年4月3日 1885号 (7面) 
「到達度診断テスト」見合わせ決定 東京私中高校協会
観点別学習状況の評価評定へ
絶対評価は学力測定には不十分
高校推薦入試判定の資料に

酒井会長

  東京都私立中学高等学校協会(酒井A会長=東京女子学院中学高等学校長)は3月13日、東京・市ヶ谷の私学会館(別館)で記者会見を開き、「到達度診断テスト」の導入を当面見合わせることとすると発表した。絶対評価(目標に準拠した評価)は教育目標を規準とし、児童・生徒一人ひとりがどこまで学力を身につけているのかを評価するもので、同協会は今まで、入試選抜試験は順位づけが基本だから絶対評価では不十分としてきたが、東京都教育委員会から入試相談資料として「評定」とともに「観点別学習状況の評価」も追加するとの提案がなされたのを評価し、これにより入試相談資料として判定できると決定した。

 新学習指導要領の実施に基づき、児童・生徒一人ひとりの個性に着目した教育活動が重視されるようになり、平成十四年度から指導要録(子供の学習・行動などの記録)と通知表には絶対評価による評定によって行われることになった。
 これを受けて、同協会では「絶対評価が私立高校推薦入試等の判定資料として用いるには受験生の『知識・理解・能力・技能』の観点からみた学力面を客観的に測定する資料としては不十分である」と判断し、これを補完することを目的に「到達度診断テスト」の導入を決定(十四年六月二十七日同協会理事会)、その準備を進めてきた。
 その後、東京都と同協会との連絡協議会(公私連絡協議会)の専門委員会で、三月になって東京都教育委員会から「平成十六年度以降の推薦等入試相談資料として、新たな資料(中学校第三学年全員の各教科の『観点別学習状況の評価』および『評定』)を追加する」との提案が行われたのを受けて、同協会ではこの資料が「入試相談資料として一定の評価ができると判断し、受験生への影響等諸般の状況を考慮」し、「到達度診断テスト」の導入を当面見合わせることとした。
 「観点別学習状況の評価」は「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」の四観点に基づき、学習指導要領に示されている目標に照らして実現できたかどうかを三段階で見るのに対し、「評定」はその評価を踏まえ、学習指導要領が示す各教科の目標に照らして、その実現の状況を総括的に五段階で評価することになる。同協会はこの資料により学年全体の分布が分かり、絶対評価を補完する資料として使うことができると判断した。
 私立学校はそれぞれの建学の精神のもとに独自の教育を行っており、学校ごとに入学させたい生徒のタイプが異なってくるのは当然だ。私学側は「観点別学習状況の評価および評定」の資料によって、各学校の求める生徒像が明らかにできるわけだ。各私立学校は観点別評価の説明(どの観点を重視しているのかなど)を受験生に示す必要がある。今後、同協会は絶対評価による調査書をもとに実施した十五年度の推薦入試の結果を検証していく。

到達度診断テストの見合わせを発表した記者発表

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