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記事2003年4月3日 1885号 (2面) 
「学生の豊かな人生のために」私大連盟の就職委レポート
教育実践の活性化
産学連携型の教育が必要
  日本私立大学連盟の就職委員会(担当理事=栗田健・明治大学総長)はこのほど、「学生の豊かな人生のために」と題する就職委員会レポートをまとめた。昨年十月に京都東急ホテルで開催された平成十四年度拡大学生就職支援協議会において、清家篤氏(同委員会委員・慶應義塾大学商学部教授・同学生総合センター就職部長)は「経済の構造変化と就職支援活動」と題する講演のなかで、自身も就職問題に関わり労働経済学を専門とする立場から、市場のルールを確立させる必要性を訴えながらも「確かな大学教育こそが就職支援であり、大学の就職部門は大学改革の情報窓口にも成り得る」と提言、これを受け、同委員会で討議しまとめたもの。学生のための就職支援とは、将来の職業生活を通じた自己実現を準備するための大学・教職員の営みであり、確かな教育こそが将来社会人として生き抜くための根源となるもので、課外活動を含んだ学生生活の活性化、インターンシップをはじめとする多様なプログラムが、ひいては学生の目的意識向上にもつながると分析、教育実践の活性化とともに、大学と企業、社会との社会契約的な合意と産学連携型の教育が必要であると指摘している。
 具体的な提言としてレポートでは「学生のための就職(進路)支援とは、大学の基本的使命としての全教育課程そのもの」であり、高度な教育・研究システムを保持し、国際競争力のある大学を持てるかどうかに我が国の二十一世紀はかかっているとし、「確かな教育こそが学生に次代を生き抜く力を与える根源であり、大学の責務である。社会で求められるさまざまな能力も確かな大学教育において獲得できる」と指摘している。
 また、就職(進路)支援は全学を挙げた支援体制が必要で、過去の教育の枠にとらわれず大学教育を充実させるべきであるとする一方、学生や父母への積極的かつ正確な情報提供の重要性も指摘、「社会全体が目先の利益を優先させず、広く将来を見据えた姿勢を持って適切な対応を望む」としている。
 また、企業の採用行為が三年次にまで早期化している現状、企業は「即戦力」を望みながらその教育のための時間的猶予さえ奪おうとする言動は矛盾しており、複雑化した現代社会においては学生に考えさせる時間も必要であることを、大学こそが社会に訴え理解を得られるよう早急に取り組む必要があること、そして、「就職協定廃止後六年を経過し、節度ある就職・採用活動の必要性が高まるなか、学生の学問する権利と大学の教える権利と義務の確保に向けた産学一体のルール作りが緊急課題である」と結んでいる。
 本レポートには、清家氏の講演「経済の構造変化と就職支援活動」全文を併録。購読希望者には一部二百円(送料別)で実費頒布される。

▼問い合わせ・申し込み先 社団法人日本私立大学連盟 教学支援課 
電話03-3262-3603 FAX03-3262-3604 メールkyogaku@shidairen.or.jp
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