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記事2003年4月3日 1885号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向 奨学制度の整備など課題山積
脆弱な留学生支援
正確な情報の発信
【大学分科会留学生部会】

平成十五年三月二十四日、中央教育審議会大学分科会留学生部会(第四回)が文部科学省別館で開催された。留学生部会では前回に引き続き留学生政策の包括的議論が続いた。冒頭、荻野アンナ委員から発言があった。
 中国人留学生から電話があり、大学院受験の際に、すべての書類を揃えていたにも関わらず、願書受付の窓口で「卒業した中国の大学が本物の大学かどうか」を証明する書類を領事館からもらうようにといわれ、その書類が時間的に間に合わず受験は翌年を待たざるを得なかったケースが紹介された。さらにこの留学生は七年間で、修士号を取り、博士課程在学中に除籍となったが、この間の生活は極めて困難であったという。こうしたケースをなくすためには、正確な情報の発信、さらに奨学制度の整備、住居の改善など課題は山積みであるとの意見があった。中嶋嶺雄委員は、財団法人日本国際教育協会が、国際交流館をお台場(東京都江東区青海)で運営しているが、設備は素晴らしいが環境は決して良いとはいえず、ソフト面の充実が必要と発言した。
 今回は外務省人物交流課長が出席し、我が国の留学生受け入れの現状について説明があった。平成十四年五月一日現在、留学生受け入れ総数は九万五千五百五十人で、留学生受入計画の十万人をほぼ達成することになり、今後は質の向上も目指していくとした。この内、国費による学生は九千九人で、全留学生の九・四二%で、九三%がアジア出身者となっている。また、外務省による留学生受け入れ関係施策については、留学前の支援、学生等に対する支援、帰国留学生同窓会組織等に対する支援の現状を説明した。そのなかで、中国、韓国、タイなど六在外公館で、日本留学情報提供コーナーを設置し、インターネット上では日本留学総合ガイドで情報を提供し、国費留学生の募集・第一次選考を実施しているとした。
 委員からは、外務省と文部科学省が行っている留学生に対する施策が不統一で、縦割り行政の悪い面があるとの指摘がなされた。また、私立大学の学校案内を在外公館で配布してくれるのかといった意見もあった。さらに、諸外国(アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス)における留学生政策についての説明がなされた。主要国の留学生支援機関の比較では、イギリスのブリティッシュ・カウンシルは七千三百人の職員、年間予算七百八十三億円。これに対して、日本国際教育協会は職員七十三人、予算八十八億円で、日本の支援機関の貧弱さが浮き彫りになった。
 部会では外務省が現在行っている留学生政策について、各施策の具体的な予算や人員数も含めた情報の提出を求めた。


【生涯学習分科会】

書道講座など社会通信教育の一部廃止
公民館設置・運営基準等見直しへ

 中央教育審議会は三月二十日、東京・霞が関の東海大学校友会館で生涯学習分科会(第十八回)を開催した。
 分科会開催は昨年七月以来約八カ月ぶりで、第二期中教審が発足して以降、初の分科会のため分科会長、副分科会長の選任が行われ、分科会長には山本恒夫・大学評価・学位授与機構研究部教授が、副分科会長には松下倶子・独立行政法人国立少年自然の家理事長が就任した。
 この日の分科会では、社会のニーズの変化によって受講者が減少したなどから廃止申請の出されていた、学校法人日本放送協会学園の「書道講座書道入門」や社団法人第二地方銀行協会の「経営分析コース」など一部社会通信教育課程の廃止が検討され了承された。
 また「公民館の設置及び運営に関する基準」と「公立博物館の設置及び運営に関する基準」の見直しが検討され、このうち公民館の基準に関しては、新たに地域の学習拠点や家庭教育支援拠点としての機能、公民館事業の自己点検・自己評価の追加等を行う見直し案が提示され、検討された。
 今後は各都道府県や一般からの意見聴取も行い、検討を重ねたうえで、五月中にも基準を改正することにしている。
 公立博物館の基準に関しては、博物館の行う事業への青少年や高齢者、障害者、外国人、乳幼児の保護者らの参加が可能となるように努めること、ボランティアの参加促進に努めることを新たに盛り込むなどの見直しが検討された。
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