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記事2003年4月3日 1885号 (1面) 
学校法人の財務開示の在り方など 運営改善策固める6月にまとめ
文科省 学校法人制度改善検討小委員会
  文部科学省の大学設置・学校法人審議会学校法人分科会内に設置されている「学校法人制度改善検討小委員会」(座長=高祖敏明・学校法人上智学院理事長、私学関係者や公認会計士、弁護士ら十一人で構成)は、学校法人の財務の開示や監査制度の在り方などを昨年十月末以降、検討を続けており、三月二十四日の第六回会合までに財務状況の公開に関しては、ほぼ方向性を固めた。今後四回程度の会合を開き、理事会や評議員会の在り方なども検討し六月に検討結果を取りまとめる予定。
 これまでのところ、▽学校法人は公共性が極めて高い法人であることから、自主的な公開を促すことから一歩進め、公開を法的に義務付けるべきではないか。▽公開すべき学校法人の範囲は、私学助成の有無に関わらず学校法人全体を対象とすべきではないか。(大学から幼稚園まで)▽公開の対象は特に限定せず、求められれば誰にでも公開すべきではないか。▽公開の対象とする財務諸表は、資金収支計算書、同内訳表、消費収支計算書、同内訳表、貸借対照表、財産目録とすべきではないか。ただしプライバシーに関するものなどであって、学校法人において公開することが不適切と認めたものは除外できるようにすべきではないか。▽公開の方法として義務付けるのは、閲覧としてはどうか。その他広報誌等でも公開が望ましいが、その方法は学校法人の判断としてはどうか。▽財務状況の公開にあわせ、事業報告書も公開すべきではないかといった方向性が固まっているが、財務状況開示の義務化は必至の情勢だ。来年の通常国会に私立学校法の改正案が提出される見通しだ。しかし同じ学校法人の中にも幼稚園法人のように規模の小さなものから大学法人のように大きな法人まで様々あるので、取り扱いでは一部免除措置を講じることも検討されている。
 また悪意を持った第三者が財務状況の公開を求めてきた場合を懸念する私学関係者は多いが、これについて委員会内では契約書の取り交わしが必要だとの意見が出されている。その一方で財務三表では大したことはできないとの見方もある。
 同小委員会の第六回会合では理事会制度、評議員制度などが検討され、機動的な運営、チェック体制の充実といった面から理事会ではなく評議員会が実権を握っているケースなど現状の問題点の洗い出し、改善策の検討等が行われた。
 商法の改正や公益法人の見直しなどが進む中で文部科学省は学校法人のガバナンス機能の強化は避けて通れない課題として捉えているが、学校法人制度そのものをなくすといった考えはなく、一部学校法人の問題で私学に対する社会の目が厳しくなってきている中で、社会の批判にも耐えられる制度に改善していきたい意向だ。検討の方向性が見えてきたこともあって、私学関係者の関心も更に高まっており、今後活発な議論が展開されそうだ。
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