全私学新聞

TOP >> 2004年9月13日号二ュース

記事2004年9月13日 1947号 (8面) 
ユニーク教育 (133) ―― 藤村女子中学・高等学校
自分に自信をもつ
夢は叶うと思って努力を

江原校長

七月十日、藤村女子中学・高等学校(江原美規子校長、東京都武蔵野市)の生徒にとっては、生涯忘れられない日となったにちがいない。同校の卒業生であるスワーダ・アル・ムダファーラ氏の講演が行われたからだ。スワーダ氏は一九九〇年にオマーンでまず幼稚園を設立、現在では幼稚園、小学校、中学校、高校まで、約四百人が通う学校の校長だ。まさに海外で活躍する日本人の女性の一人で、同校が誇る「素晴らしき先輩」(江原校長)だ。
 この日で前期は修了する。江原校長はスワーダ氏の講演が始まる前、あいさつの中で「自分がどのような目標を持って今日まで生きてきましたか。本校の建学の精神は知・徳・体の調和のとれた女子教育の育成です。皆さんはこの素晴らしい学校で学ぶことができる喜びと自信、プライドを持ってほしい」と全校生徒たちを前に訴えた。
 同校は「『心身ともに健全にして、知・徳・体の調和のとれた個性豊かな女子教育にあたる』という建学の精神から表れる明確な目標のもとに、生徒それぞれが自らの可能性に挑戦し、『未見の我』を発見することを目指している」(江原校長)。
 その自らの可能性に挑戦し、文化や環境などまったく異なるイスラム社会に飛び込み、自分の目標を達成した女性がスワーダ氏だ。藤村の精神を受け継いだ一人といえる。
 スワーダ氏は旧日本名、森田美保子氏。
 「藤村中学・高等学校在学中には、教師になろうなどという気持ちはなく、学校設立資金ゼロから今日まで学校を築きあげることなど、考えてもいなかった」と言う。
 なぜ、オマーンで学校をつくりたかったのか。
 一九七八年、日本とオマーンの文化交流の催しで、オマーンを訪れた。オマーンはイスラム教の国で、女性が教育を受けられる機会は少なかった。スワーダ氏はオマーンの子供たちのために学校をつくりたかったのだ。
 「オマーンにいて、日本の教育のよさを知りました。基礎教育のよさが今日の私を支えてくれていると確信しています」と述懐するスワーダ氏。
 さらに「藤村の生徒であるということをしっかり考えてほしい。この学校の校風に合わせなければいけないと思いました。皆さんは今いるその環境に合わせることが大切で、そうすると、どんな環境にも立ち向かうことができると思います。ただし、自分の個性をなくしてはいけないことはもちろんです」と、藤村で勉強できてよかったことを強調する。
 「夢はそれぞれの自由であればよいと思います。自分に自信を持つことはたいへん大切です。自分がこうしたいと思ったら、夢は必ずかなうと思って、努力してほしい」と生徒たちを激励する一方で、スワーダ氏自身も「日本人であることの素晴らしさを自ら誇ることができるように頑張りたい」と語る。
 スワーダ氏が同校で過ごした当時は、スカートの丈が床上三十aだったことを例に、「これには生徒が並んだときにいかに美しく見せるかという配慮があるからです。私は美の追求ということが分かりました。どうか、年齢にふさわしいものの考え方を身につけてください」と熱い口調で語った。
 同校は「躍動する藤村 未来はこの手に」を合言葉に、チャレンジを続けている。この日、ソフトボール、バスケットボール、囲碁(いご)、競泳、ダンス、柔道などで、インターハイや関東大会などに参加する選手・クラブのための壮行会も行われた。江原校長は「授業とスポーツを両立させ、部活動の成果を挙げたことに誇りを持ってほしい。そして、『藤村魂』を忘れずに、自らの限界にチャレンジし、二十一世紀の世界に羽ばたく女子教育パイオニア校の生徒として『敵は己の心にあり』を忘れずに試合に臨んでください」と、力強く選手、生徒たちを送り出した。


貴重な体験を語るスワーダ氏

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞