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記事2005年4月3日 1973号 (1面) 
大学基準協 初の第三者認証評価
評価制度導入後、初の大学評価
35校申請中の33校が適合
定員過剰勧告、FDの遅れで助言も
大学基準協会(会長=清成忠男・法政大学総長、理事長)は、認証された第三者評価機関による認証評価制度導入後初の大学評価結果を、三月二十二日に公表した。十六年度に評価申請があったのは公私立大学合わせて三十五校。このうち、三十三校が「適合」の認定を受け、二校が「保留」となった。「適合」とされた大学に対しても大学等の一層の充実を図るため提言が付され、地域産業に貢献する人材育成を「長所」として評価する一方で、定員過剰との「勧告」や、FD(ファカルティディベロップメント)が遅れているとの「助言」を受けた大学もあった。

 大学には「認証評価」が義務づけられており、大学基準協会は今回、認証評価と併せて「加盟判定審査」および「相互評価」を行った。評価結果はいずれも「適合」「保留」「不適合」の三つ。
 「加盟判定審査」は、大学基準協会の新規正会員になる際に受けるもので、今回、「加盟判定審査ならびに認証評価」を受けたのは私立大学十二校、公立大学五校の計十七校。このうち十五校が「適合」として協会への加盟が認められ、二校が加盟「保留」となった。
 もう一方の「相互評価」は、すでに正会員となっている大学が七年ごと(初回のみ五年後)に受けるもので、今回「相互評価ならびに認証評価」を受けたのは私立十六校、公立一校の計十七校、また「相互評価」のみ受けたところが一校あった。これら十八校はすべて「適合」と認定された。
 認証評価は大学の質的向上を図ること、また社会に対しては「質の保証」をすることを目的としている。このため今回の大学評価では、評価項目に対する評価をするだけでなく、いずれの評価結果にも、大学が今後一層の改善充実を図れるよう必要に応じ、提言として「長所として特記すべき事項」「勧告」「助言」が付された。
 例えば、「長所として特記すべき事項」の例では、海外大学への学士入学によるダブルディグリー取得の制度化や、選択できる語学教育・文化的教養科目も含め国際的教育の充実などが評価されていた。
 「助言」では、単位互換制度が活発ではない、FDの整備検討が遅れているなどが挙げられていた。「勧告」で最も多かったのは定員過剰だったが、財務諸表の公開が不十分だとされたところもあった。
 なお、私立大学については、財政公開、財務監査、財務比率の状況についても審査・評価が行われた。
 今回の大学評価では、延べ三百四十八人の委員と十八人の幹事、特別大学評価員一人が審査・評価に当たった。評価方法および経緯は、(1)書面による審査・評価(2)実地視察の実施(3)判定委員会・相互評価委員会の審査・評価結果案の作成(4)意見申立(5)評議員会・理事会により評価結果確定―となっている。(4)の意見申立は、大学が、送付されてきた評価結果(案)に対して、内容に事実誤認があった場合に申し立てを行うもので、今回は三十五大学中三十一大学が意見申立を行った。
 加盟「保留」となった二校については、定員割れ、財務諸表の未公開などを指摘、また受験生の選抜方法、在籍生の進級判定の見直しなどを求めている。同協会では、この二校については三年後に報告書を提出してもらうとしている。

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