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記事2011年2月13日 2195号 (1面) 
科研費補助金に基金など2法案を国会提出
研究費の効率的使用が可能に
小学校1年生 35人学級実現へ
市町村の学級編制の裁量拡大
 第百七十七回国会が一月二十四日、百五十日間の会期の予定で始まった。衆議院と参議院で与野党が逆転する中で政府提出法案の成立の行方が注目されるが、二月四日には文部科学省関係の「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案」と「独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律案」の予算関連法案が衆参両院に提出された。

 前者の「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案」は、@三十五人学級の推進、A市町村が地域や学校の実情に応じ、柔軟に学級を編制できるような仕組みの構築―を行うもの。うち@は、同省が学級編制の標準に関して現行の四十人学級が始まった昭和五十五年以来三十年ぶりに引き下げるもので、予算上の制約から二十三年度は小学校一年生のみ三十五人学級を制度化する。同省では二十四年度以降に関しては、国や地方の財政状況等を勘案して、改めて検討することにしている。
 小学校一年生の三十五人学級には、副校長・教頭の配置や事務職員の配置等の充実を含め四千人の教職員定数の措置が必要となる。具体的には三百人の純増を含む二千三百人の定数改善を行うとともに、加配定数の一部(千七百人)を活用する。施行は平成二十三年四月一日の予定。またAは、都道府県教育委員会が定める学級編制の基準に従い学級を編制(市町村教育委員会の事前協議、都道府県教育委員会の同意が必要)している現行制度を見直すもので、例えば小学校一年生で一学年の児童数が三十六人の場合、十八人ずつに分割せず、担任とTTで授業することも可能とする。
 国は学級編制の標準を基礎とした教職員定数について国庫負担(教職員給与費の三分の一を負担)、都道府県は教職員の給与費を負担し、その定数を決定することに変更はない。施行は平成二十四年四月一日の予定。
 一方、後者の「独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律案」は、「科学研究費補助金」(二十三年度予算額は二千六百三十三億円)の複数年度にわたる使用を可能にするため、日本学術振興会に「学術研究助成基金」(約八百五十三億円)を創設するもの。このうち約四百二十九億円は二十四年度以降の研究費相当額(後年度負担分)として確保されているもので、二十三年度に研究費の全額は配分されない。科学研究費補助金のうち、新しく柔軟な発想が期待され、研究規模が小さく多くの研究者が対象となっている「若手研究B」と「挑戦的萌芽研究」「基盤研究C」の新規採択分を対象とする。この基金化で、研究者は複数年にわたる研究期間内に、必要な時期に研究費を使用することが可能となり、与えられた研究費を効果的に使い研究を行うことができる。研究費の前倒し請求が可能で、繰り越しに関する手続きも不要となる。新規採択の約八割が基金の対象。継続分は従前と同じ扱い。基金化の対象となる三研究種目の二十三年度新規採択研究課題の採択通知(交付内定)は、国会での法律改正後となる。科学研究費補助金は二十二年度で六万件以上の研究課題を支援している補助金で、菅総理の肝いりで二十三年度の予算額が前年度比六百三十三億円も増額した。


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