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記事2011年2月23日 2196号 (2面) 
今後の高校教育の在り方ヒアリング
日経エデュケーションチャレンジなど報告
3人から意見聴取 民間人積極登用の声も
 鈴木寛・文部科学副大臣が中心となって実施している「今後の高校教育の在り方に関するヒアリング」の第五回が二月十六日、同省の省議室で行われ、上野信雄・千葉大学大学院融合科学研究科教授、三橋信也・東京都立杉並総合高校長、米倉誠一郎・一橋大学イノベーション研究センター長の三人が、それぞれ飛び入学、企業出身校長による学校改革、新聞社の支援を受けての社会スタディ等について発表した。
 同省が高校教育の見直しを進めるのは、国が公立高校の授業料無償化、私立高校の授業料軽減を平成二十二年度から開始したのに伴い、高校生の勉学等を充実させ、その効果が社会に広く還元される方策を検討しているため。このうち上野教授は、十七歳からの飛び入学を十三年間続けてきた成果等から、高校や社会で「教育は国家存亡に関わる礎」との基本認識が低下していることなどが課題と指摘、その上で教員が本来の力を発揮できる時間の確保、危機的理科離れの改善、公立高校のガバナンス、インデペンデンス、責任者のあり方の研究等を提言した。
 飛び入学に関しては、高校から出される推薦書は極めて形式的で、マーキング方式の推薦書だと少しは高校生の才能が浮かび上がると説明した。
 三橋校長は総合商社に海外赴任経験を含め三十三年間勤務した経歴の持ち主。現代の高校生はほとんど勉強せず、教科書を学校に置いたままの生徒も少なくないが、生徒の勉強への関心を呼び起こすには教員の努力が大切で、民間人等を非常勤講師制度や特別免許状制度で積極的に活用することが重要とし、キャリア教育の場を提供する企業にインセンティブを与えるべきだと提案した。
 さらに米倉センター長は、日本経済新聞社が主催し同研究センターが協力している「日経エデュケーションチャレンジ」の取り組みを紹介した。日頃の勉強の中で「いったい何のために勉強するのか」と考えている生徒が、世界的イノベーションを巻き起こしている企業の経営者等の講演を聞き、企業活動のダイナミズムを体感することで未来への指針を受け、大きく成長するための支援をしていることなどを紹介。そうした実践を広げていくためにはソフト面の丁寧な作り込みが重要で専門家集団の力が必要だと指摘した。
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