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記事2011年9月23日 2216号 (3面) 
OECD 図表でみる教育2011公表
教育への公財政支出額の対GDP比
わが国は加盟国の平均5.0%下回る3.3%
加盟国中で最下位に
二〇〇八年の日本の教育への公財政支出額の対GDP比は三・三%で、OECD(経済協力開発機構)加盟国平均(五・〇%)を下回り、加盟国中最も低かったことが、九月十三日に発表された「図表でみる教育2011」の結果から分かった。調査を行ったOECDは「教育改善にどんなにコストがかかっても余りあるリターンがある」として、教育へのさらなる投資を促している。
 〇八年のデータは、高校無償化が導入される前ではあるが、初等・中等・高等教育以外の中等後教育段階での公財政支出額の対GDP比は二・五%で、データの存在する加盟国中スロバキアに次いで下から二番目。高等教育段階は〇・五%で、最下位だった。
 一般政府総支出に占める公財政教育支出の割合は九・四%で、OECD平均の一二・九%を下回り、イタリアと並んで最下位だった。
 半面、日本の教育支出に占める私費負担の割合(〇八年)は三三・六%(OECD平均一六・五%)で、データの存在する加盟国中では、チリ(四一・四%)、韓国(四〇・四%)に次いで三番目に高い数値となっている。特に就学前教育(五六・五%)と高等教育(六六・七%)段階での私費負担の割合が高い。
 日本の大学型高等教育に関して、OECDは「授業料は高いが、学生支援の仕組みが比較的整備されていない国々」のグループに位置付け。「教育格差が見受けられるなか、個人の社会的背景に関わらず、高等教育へのアクセスが可能な環境整備、保障が求められる」としている。
 また、日本の初等教育段階の平均学級規模(〇九年)は、二八・〇人(OECD平均二一・四人)で、データの存在する加盟国中、チリ(二九・六人)、韓国(二八・六人)に次ぐ大きな規模だった。
 一方、多くの加盟国が教員の給与や勤務条件を改善してきているのに対して、日本の教員の〇九年の給与は、〇五年比で九五%と、実質的に減少している。
 OECDは「日本では近年、学級規模を縮小するために投資がなされているが、指導の質は規模だけに左右されるわけではない。優秀な人材が教員として確保されること、教員が質の高い専門職として自らを磨ける機会を確保することなど、他の教育の質に関わる要素も考慮されるべきである」としている。
 毎年九月にOECDが発表する「図表でみる教育」は、教育分野における国際比較が可能なインディケータ(指標)を、教育効果、教育投資、教育参加、学習環境と学校組織の四領域で示している。
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