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記事2012年12月13日 2258号 (1面) 
私大団体連など3団体 私大振興大会を開催
私立大等支援を最優先課題に シンポなど通じ社会に訴える
わが国の再生・発展の原動力は私大

 日本私立大学団体連合会、日本私立短期大学協会、日本私立高等専門学校協会の三団体は、十二月三日、東京・市ヶ谷の私学会館で「私立大学振興大会2012」を開催した。大会にはテレビ会議で参加した学長らを含め全国から約四百人の大学等関係者が出席。また、文部科学省からは森口泰孝・事務次官、小松親次郎・高等教育局私学部長が出席した。

 この大会は、わが国の将来にわたる発展の原動力は、高等教育の約八割を担い、全国各地に展開する多様・重層な私立大学の教育研究活動にあることを社会に強くアピール、国に対して公平・公正な高等教育政策へのパラダイムシフト(大転換)を求めるなどを目的としたもの。
 今年の大会では、大沼淳・私大団体連副会長の開会のあいさつに続き、主催者を代表して、清家篤・私大団体連会長(慶應義塾長)があいさつに立ち、「私立の高等教育機関は社会に有為な人材を輩出し経済と社会に大きく寄与、また、国民の知的水準を高め人的資源の厚みを増すと同時に、全国各地において知的基盤として地域社会に大きな貢献をしている。大学の在り方の多様性が社会の持続可能性を高めている意味でも私立大学等は大きな貢献をしていると自負している」と語り、その上で、私立大学の社会貢献の礎になるのが確固たる財政基盤で、学生納付金、寄附金に加え、公的支援も欠かせない存在だと指摘。私立大学のさらなる教育・研究の質の向上と健全な経営のために社会に向け、正しい理解等を訴えた。
 一方、森口事務次官は、同省が現在、財務省に来年度予算として要求している私立大学等改革総合支援事業や国公私共通の予算充実等に文部科学省として最大限努力していく考えを表明、私大関係者の支援を要請した。
 その後、「わが国の持続的発展と私立大学―今こそ、私立大学の時代―」をテーマにパネルディスカッションが開かれた。パネリストは、小松私学部長、清家塾長と黒田壽二・金沢工業大学学園長・総長の三氏で、日本私立短期大学協会長の佐藤弘毅・目白大学短期大学部学長がコーディネーターを務めた。
 この中で小松私学部長は、「エリート層の育成や学術研究も大事だが、普通の市民が多彩で多様な中間層としてしっかり社会を支えていけるかが大きな課題。日本の高等教育の大宗を担う私学が質の高さを国民にしっかりとアピールしていくこと、そうした構造が本当に強みを発揮するためには、その基盤を社会として支えていくことが必要であり、(その実現に)懸命に頑張りたい」と語った。
 続いて清家塾長は、被災地の生徒や学生の就学機会が失われることがないようにしっかりと対応すること、私立大学が地域の発展の拠点となること、私立中心の高等教育行政を推進することの重要性を強調。そうしたことの前提として私立の高等教育機関が教育の質を高めていくこと、さらにその前提として健全な経営を営むこと、そのためには情報公開をしっかり進めていくこと、また大学基準協会等の力を借りて基準を指標として経営や教学の質を高めていく重要性を力説した。黒田学園長は、地方の私立大学の重要性を力説、指導者層と、そのエリート層を支える中間層を幅広く育てることが大事で、地方が栄えないと日本は栄えないなどと語り、地方の私学が育つ環境づくりの実現などを求めた。


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