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記事2013年7月13日 2278号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
法曹養成制度検討会議の提言を受け 公的支援を見直しか
特別委に3WGを設置
大学分科会法科大学院特別委員会

 中央教育審議会の大学分科会法科大学院特別委員会(座長=井上正仁・早稲田大学教授)は7月11日、文部科学省内で第55回会合を開いた。6月26日に承認された、法務省法曹養成制度検討会議の最終提言を踏まえた議論を展開したほか、この特別委員会の下に3つのワーキンググループを設置すると決めた。共通到達度確認試験等に関する検討WG、組織見直し促進に関する検討WG、法科大学院教育の質の向上に関する改善状況調査WGの3つ。「共通到達度確認試験」(仮称)とは法科大学院1年次の最後に行う進級判定システムで、教育の質向上のために早期実現が必要、と法曹養成制度検討会議が提言していた。この日の議論で特に重点が置かれたのは、公的支援の見直しについて。従来、「直近の競争倍率2倍未満」「3年連続で司法試験合格率が全国平均の半分未満等」の2つの指標を設け、該当する法科大学院への公的支援は減額していた。自主的な改善を促すためで、定員削減や学生募集停止、統廃合といった抜本的な組織見直しにもつながった。これに新たな指標を加えてより厳格にする、というのが公的支援の更なる見直しの趣旨。委員からは「これ以上の締め付けは学生にも影響が出る」「全体に志願者が減少しているのだから倍率2倍確保は極めて困難。現実的な指標を」との声がある一方、「国民の立場で現状の法科大学院に公的資金が投入されることに納得できるか」との声もあった。
 法科大学院の入学定員削減(定員適正化)は着実に進んでおり、平成26年度の入学定員は全体で3809人(6月末現在の予定数)。対前年度比で452人減、対ピーク時比で2016人減となった。一方、定員削減が志望者減少を招く悪循環に陥っているとの分析もあり、いかにして法科大学院の浮揚を図るか、どのような教育が求められているか等も今後の検討課題となっている。


学び直し、リーダー育成へ
社会人教育、グローバル化対応 など検討

大学分科会大学院部会

 中央教育審議会の大学分科会大学院部会(部会長=有信睦弘・東京大学監事)は7月3日、文部科学省内で第65回会合を開いた。第7期中教審では初の会合。
 前回までの議論から、「大学院はキャリアアップのための学び直しの受け皿となっているか」「企業や官庁等は修士・博士の学位取得者を使いこなせていない」「小規模専攻が分散している状況はイノベーションにつながらない」「研究者養成か、高度専門職業人養成なのか目的を明確にすべき」等の課題が浮かび上がっていた。また、6月14日に開かれた114回大学分科会は、大学院に関する検討の視点として「体系的な教育の展開」「世界を牽引するリーダーの養成」「社会人の学び直しを含めた高度専門職業人の養成・確保」を上げている。
 大学院部会はこれらを踏まえて、今後の大学院教育の在り方について「社会人教育」「大学院教育の強化・実質化」「グローバル化への対応」等をテーマにより具体的な議論を重ねていく。初会合では自由討論として、出席した委員全員がそれぞれ意見を述べた。委員には大学・大学院関係者以外に、大企業の役員、コンサルティング会社の代表者らも含まれており、「高度に専門的な知識だけでなく総合的な能力を備えた人材がイノベーションを起こせる。産業界が大学院に求めるのはそうした人材の育成だ」といった意見を述べた。
 次回会合は8月20日開催予定。

大学のガバナンスの在り方 など議論へ
部会長は河田悌一 私学事業団理事長

大学分科会組織運営部会

 中央教育審議会の大学分科会は6月26日、文部科学省内で組織運営部会(部会長=河田悌一・日本私立学校振興・共済事業団理事長)の初会合を開いた。第7期大学分科会の審議事項のひとつに「大学のガバナンスの在り方」がある。変化が進む社会の中で大学が役割を発揮するには、自主的・自律的な大学改革の推進が必要であり、そのためには学長のリーダーシップの確立や学内組織の運営・連携体制の整備等についての検討が必要、としていた。そこで新たに編成されたのが組織運営部会で、大学のガバナンスの在り方と、学位プログラムに基づく教学マネジメントの在り方について検討する。
 第6期大学分科会での議論は「ガバナンスの強化は、個々の大学ではなく大学全体のシステムとして確立することが必要」との総論に至る一方、「ガバナンスの在り方は多様であり、特に私学については一律的な仕組みを作ることには慎重であるべき」とも言われていた。また、「学長、学長補佐機構、学部長、教授会などのそれぞれの権限について考えるべき」「学長の交代で教育方針が大きく変わるのは問題。学長に権限を集中すればよいというものではない」「教学に関する重要事項を審議する機関である教授会が経営的な事項にも関与している」等の個別の課題も浮かび上がっており、組織運営部会はそれらを踏まえて、より具体的な議論を重ねていく。

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