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記事2018年2月13日 2433号 (1面) 
人生100年時代構想会議で大学改革を集中審議
期待される役割・機能明確化 
私大でも役割・機能別枠組み検討も

安倍総理は2月8日、総理官邸で5回目となる「人生100年時代構想会議」を開催した。この日は国の競争力を高める原動力である大学の改革について集中審議を行った。総理は、議論修了後、「人づくり革命をけん引する重要な主体の一つとして、時代に合ったかたちに大学改革を進めなくてはならない」と発言、この日の議論を四つの論点に整理した。  1点目が各々の大学の位置付けや期待される役割・機能の明確化。私立大学でも役割・機能別の枠組み(国立大学では一部始まっている)を設けることを検討すべきとの意見。2点目はカリキュラム編成のプロセス。特に教育機能を重視する大学では、社会の現実のニーズに対応したカリキュラム編成が行えるよう外部の意見を反映する方策、実務経験のある教員を増やす方策、教員の教育能力を高める方策を検討すべき。併せて経営力強化のため、民間の外部人材の理事への登用を進める方策を検討すべきという意見。3点目が大卒生の質の改善のため、学生が在学中に身に付けた能力・付加価値を見える化する方策を検討、産業界では採用に当たり学生が大学で身に付けた能力を評価する体制を検討すべきという意見。4点目が少子化時代を迎え、国公私の枠を超えた大学の連携・統合を可能とする制度や撤退・事業継承の制度的仕組みを検討すべきという意見。  こうした意見を踏まえて安倍総理は林芳正文部科学大臣に、四つの論点について検討し、時代構想会議に検討経過・結果を報告するよう指示、再度、大学改革について議論すると語った。林大臣はその後の記者会見で中央教育審議会等で議論していく考えを明らかにした。  時代構想会議議員の鎌田薫・早稲田大学総長は、大学・短大・専門学校等の学校種および国立・公立・私立といった設置形態を超えた大胆な連携・再編を図るとともに適正な競争環境を整備することで、わが国の高等教育全体の飛躍的な水準向上を図ることを目指すべきだと指摘。また高等教育機関の機能別分化を図ることは必要と考えるが、私立大学の場合には基本的に自主的に自らのミッションを定めるべきだとし、その際、職業人としての即戦力の養成等のほか、大学院への進学等を前提としたリベラルアーツ教育を目的とすることも積極的に推進されるべきだろうと訴えた。  一方、林大臣は、国立大学での1法人複数大学制導入、私立大学における学部単位での事業譲渡の円滑化に加えて、国公私立の設置主体の枠を超えた統合方策の構築の必要性を指摘。経営改善が見込めない経営困難な学校法人に対しては撤退を含めた早期の経営判断を求める国からの踏み込んだ指導を進めていく考えを明らかにした。

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