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記事2018年3月3日 2435号 (1面) 
文部科学省 著作権法の一部改正案、国会提出
より使い勝手いいICT教育体制を整備 
許諾を要せずワンストップの補償金支払いで

文部科学省は2月23日、「著作権法の一部を改正する法律案」と「学校教育法等の一部を改正する法律案」の2法案を国会に提出した。このうち「著作権法の一部を改正する法律案」には、学校等の反転授業や予習・復習用に、教師が他人の著作物を用いて作成した教材を、ネットワークを通じて生徒の端末に送信する行為等について、現行法では必要となる権利者の許諾を要せず、ワンストップの補償金支払いのみで済む体制整備の条項が盛り込まれており、法案成立・施行後は学校にとって、より使い勝手がいいICT教育体制が整うことになる。ただし同条項の施行は、補償金の徴収・分配を一手に引き受ける指定管理団体(文化庁長官が指定、非営利の一般社団法人)が必要となるため、法律の公布日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日となる。


提出された「著作権法の一部を改正する法律案」は、(1)デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備(第30条の4、第47条の4、5等関係)、(2)教育の情報化に対応した権利制限規定等の整備(第35条等関係)、(3)障害者の情報アクセス機会の充実に係る権利制限規定の整備(第37条関係)、(4)アーカイブの利活用促進に関する権利制限規定の整備等(第31条、第47条、第67条等関係)の4点が柱。いずれも教育等におけるアーカイブの利活用に係る著作物の利用の円滑化が目的の権利制限規定整備が特徴。  このうち(1)は、著作物の市場に悪影響を及ぼさないビッグデータを活用したサービス等のための著作物の利用について、許諾なく行えるようにするもの。例えば大量の論文を収集し、学生が提出した論文と照合して盗用がないかチェックし、盗用箇所の原典の一部分を表示するといった情報解析サービスも無許諾で利用可能となる。  (2)は、前述の通り教育の情報化に対応する規定等を整備するもの。  (3)は、現在、視覚障害者等が対象となっている規定を見直し、肢体不自由等により書籍を持てない者のために録音図書の作成等を許諾なく行えるようにするもので、マラケシュ条約の締結に向けた規定整備。同条約は2013年6月、国連の専門機関である世界知的所有権機関の会議で採択された、視覚障害者や判読に障害のある者の著作物の利用機会を促進するための条約。  (4)は、美術館等の展示作品の解説・紹介用資料をデジタル方式で作成し、タブレット端末等で閲覧すること等を許諾なく行えるようにするなどの規定の整備。  施行日は(2)を除いて2019年1月1日。  一方、「学校教育法等の一部を改正する法律案」は、教育の情報化に対応して、2020年度から実施される新学習指導要領を踏まえた「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善や、障害等により教科書を使用して学習することが困難な児童生徒の学習支援のため、必要に応じて「デジタル教科書」を通常の紙の教科書に代えて使用することができる(=併用制:引き続き紙の教科書は給付される)よう所要の措置を講ずるもの。  同改正法案は、(1)学校教育法の一部改正、(2)著作権法の一部改正、(3)文部科学省著作教科書の出版権等に関する法律の一部改正からなっている。  このうち(1)は、小・中・高校等において、検定済教科書の内容を電磁的に記録したデジタル教科書がある場合には、教育課程の一部において、教科書の使用義務(学校教育法第34条)にかかわらず、紙の教科書に代えてデジタル教科書を使用できるようにするもの。  デジタル教科書の使用を教育課程の一部に限定しているのは、導入に当たって保護者等にさまざまな意見や不安があり、効果や影響等に関する検証もいまだ十分ではないなどの理由による。  ただし視覚障害や発達障害等の事由により紙の教科書を使用して学習することが困難な児童生徒に対して、学習上の困難の程度を低減させる必要がある場合には、教育課程の全部においてデジタル教科書を使用することができるようにする。  また工業など高校の専門教科等で検定済教科書がない場合、その内容を電磁的に記録した教材を使用できるようにする。  (2)は、紙の教科書と同様に、掲載された著作物を権利者の許諾を得ずにデジタル教科書に掲載し、必要な利用を認めるとともに、当該著作物の利用に係る補償金等の規定を整備するもの。  (3)は、文科省著作教科書のデジタル教科書についても文科大臣が出版権を設定できるようにする措置。同改正法の施行は2019年4月1日。

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