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記事2018年4月3日 2438号 (1面) 
大学入学共通テスト実施方針追加等検討
文科省会議 大学関係委員から成績の素点求める声 
1点刻み廃止になお抵抗感

文部科学省は3月27日、同省内で第12回「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)検討・準備グループ」を開催し、(1)平成29年度に実施した大学入学共通テストの試行調査(プレテスト)結果、(2)大学入試英語成績提供システムへの参加申し込みのあった資格・検定試験に係る参加要件の確認結果、(3)大学入学共通テストの実施方針の追加提案について説明し、意見交換を行った。意見交換では大学入学共通テストの結果をどのように大学に提供するかに関して、大学関係の委員からはあくまで素点を求める意見が複数聞かれた。一方、高校関係者からは「1点刻みの入試からの脱却を掲げて高大接続改革は始まったはず」「点数だけで(受験生を)見なない動きを加速すべきだ」といった意見が聞かれ、高大接続改革における大学関係者と高校関係者の方向性の違いを強く感じさせる会議となった。


3月27日の会議では、大学入試センターから昨年11月に実施したプレテストの結果や今年2月に実施した英語のプレテストについて結果概要等が報告された。その中では国語、数学の記述式問題に無回答が多かったことや、2月に実施した英語はCEFR(外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠)のA1からB1の問題を出題、正答率はそれほど悪くなかったことなどが報告され、引き続き、大学入学共通テスト実施に向け、検証を続けていくことなどが報告された。その上で、課題となっている成績活用の在り方や成績表示の在り方等について意見交換が行われた。焦点は成績を大学側にどう提供するか。大学関係の委員からは「評価するのに時間がかかる。素点はなくならないようにしてほしい」「(プレテストのような野心的な問題)を使った大学は少し戸惑う」といった意見が聞かれた。一方高校関係者からは「共通性を持たせて評価しないと高校側は受験しにくい。すっきりした形で提供してほしい」といった意見が聞かれた。また、学生の成長の追跡には素点と段階表示の両方が必要とする意見も聞かれたが、「素点(1点刻みの入試)はゆくゆくはやめてほしい。素点は学生の入学後に大学側に提供すればいい。大学は入学後に学生を伸ばすことを考えてほしい」といった意見も聞かれた。  (2)では、大学入学共通テストの英語(4技能)に関しては民間事業者等により広く実施され、一定の評価が定着している資格・検定試験を活用することになっているが、大学入試センターが参加要件を満たしている資格・検討を確認したもの。  それによると、七つの実施主体が実施する22の資格・検定試験が参加要件を満たしているとされた。また、各資格・検定試験がCEFRのどの水準に当たるかが初めて示された(2面参照)。このほかIELTS Australiaの試験については今年6月には参加要件を満たすこと、公益財団法人日本英語検定協会の従来型の英検については、1回の試験で4技能を評価しないということで参加要件を満たしていないとされ、またケンブリッジ大学英語検定機構の「リンガスキル」はが高校生の受験実績の少なさ等から認定されなかった。  (3)に関しては、たたき台案として大学入学共通テストの実施方針の追加が提案された。提案されたのは5点。(1)高校2年時に参加試験を受験しCEFRのC1以上の結果を上げ、経済的に困窮している、離島・へき地に居住または通学している等の要件を満たす生徒は高校3年4月〜12月の2回に代えて結果を活用できる。(2)高3の4月〜12月を含めて一定期間海外にいた生徒は参加試験と同種同名の試験結果を活用できる。(3)病気等で受験できなかった生徒は前年度の試験結果を活用できる。(4)既卒者は受検年度の4月〜12月の2回までの試験結果を活用できる。(5)障害のある受検生については不利益にならないよう各大学に積極的な配慮を求める。  こうした提案に委員からは(1)は高校生の英語レベルからかけ離れているとして疑問視する意見が聞かれたほか、そもそも大学入試に活用できる受検期間を決められると大学側は使いにくいといった意見も出された。そのほか学校と利益優先の民間とは目標が異なる、一定の規制が必要との意見もあった。

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