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記事2018年6月13日 2445号 (1面) 
デジタル教科書効果的な活用でガイドライン
年内の公表を目指して
文科省の検討会議が初会合開

文部科学省が新たに設けた「『デジタル教科書』の効果的な活用の在り方等に関するガイドライン検討会議」(座長=堀田龍也・東北大学大学院情報科学研究科教授)が6月8日、同省内で初会合を開いた。  学校教育法等の改正によって、平成31年度からいわゆる「デジタル教科書」(教科書の内容を記録した電磁的記録である教材)が、正式な教科書として授業で使用可能となった。同検討会議は、教育委員会や学校がデジタル教科書を導入する際の判断材料となるよう、その効果的な活用法や留意点をまとめたガイドラインを作成する。委員は小・中学校の校長や教頭、大学の情報科学や教育学などの研究者、教科書協会の委員など12人。年内公表を目指して議論を重ねる。  事前に用意されたガイドライン案は、まずデジタル教科書導入の趣旨・目的を明らかにして、主な機能などを例示。その上で、個別学習・協働学習・一斉学習などの場面ごとに、効果的な活用方法を具体的に示している。一方で留意点も「デジタル教科書は手段の一つであり、それ自体を目的としない」「紙の教科書やノートと適切に使い分ける」「教師にはICT活用指導力などの習得が必要」など、具体的に挙げている。ただしこれらは今後の議論次第で大きく変わる可能性もある。  委員からは「現場に混乱をもたらさないよう、ある程度ストーリーを持った形にしたい」「デジタル教科書を積極的に使う意義を冒頭に入れてほしい」「特別支援教育の立場として、もっとアクセスのしやすさを重視してほしい」などの意見が出た。  また、デジタル教科書の健康への悪影響を懸念する声が多いことから、柴田隆史・東京福祉大学教育学部教授が「健康面に関する人間工学的配慮」について解説を行った。タブレット端末への照明器具の映り込み(グレア)を抑える具体的な対策など、教室に求められる工夫などを取り上げた上で、近視進行の予防・抑制という観点からも指針を示す、養護教諭とも連携を図って児童生徒の健康面に配慮する、保護者にも説明や案内を行って適切な使い方の理解を深める――などといった方向性を提示した。


 

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