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記事2023年2月3日 2602号 (1面) 
第171回大学分科会を開催
大学振興部会の審議まとめ案を検討
成長分野をけん引する新規支援事業に多くの質問

 中央教育審議会の第171回大学分科会(分科会長=永田恭介・筑波大学学長)が1月25日、オンラインで開催された。この日の議題は、(1)大学振興部会における議論、(2)独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法に規定する助成業務の実施に関する基本的な指針案、(3)大学・短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準の一部を改正する告示案等、(4)教学マネジメント指針(追補)の作成の4点。


 このうち(1)に関しては、前回の大学分科会での意見や、大学分科会の下に設置されている大学振興部会の第8回部会(1月13日)での意見を踏まえて修正された「学修者本位の大学教育の実現に向けた今後の振興方策について」と題する審議まとめ案が事務局(文部科学省)から説明された。審議まとめ案には、T.文理横断・文理融合教育の推進として、その意義や方法論、方向性、文理分断からの脱却に向けた高大接続改革、U.「出口における質保証」の充実・強化として、大学教育の質保証をめぐる背景や現状・課題等、V.学生保護の仕組みとして、学生保護の仕組みの整備が求められる背景・課題等、学生保護の仕組みの整備に関する論点及び検討の方向性が掲載されている。最終章の学生保護の仕組みの整備に関する文章はこの日初めて示されたもの。積極的な教学改革、不断の経営改善の必要性、破綻が避けられないような事態が見込まれる場合には速やかに撤退等の経営判断を行うこと、今後、大学設置・学校法人審議会で学生確保の見通しに関する審査の厳格化・適正化等を行う予定であること、日本私立学校振興・共済事業団作成の学校法人の経営改善等のためのハンドブック第1次改訂版等を参照すること、その内容については学生保護を更に徹底する観点から内容の充実を図っていくことも望まれること、また来期以降の大学分科会では、従来の推計より急速に少子化が進行していることから、改めて今後の高等教育全体の規模を視野に入れた地域における質の高い高等教育へのアクセスの確保や在り方、国公私の設置者別の役割分担の在り方等について検討を進めていくことが必要と考えると結んでいる。


 こうした審議まとめ案に対して、委員からは地域から大学がなくなれば地域が疲弊し、可能性を塞いでしまう。もう少し大学の公共性を強調した方がいい」、「少子化は少子化政策の失敗、東京への一極集中による。大学だけの問題ではない。社会の根本問題だと一文を入れるべきだ」などの意見が聞かれた。


 (2)については調整中の指針案が文科省から説明された。総額約3千億円の「成長分野をけん引する大学・高専の機能強化に向けた基金による継続的支援事業」には学部再編等による特定成長分野(デジタル・グリーン)への転換等支援と高度情報専門人材の確保に向けた機能強化支援の2事業があり、前者は令和14年度までに集中的に受け付け、後者は令和7年度までを基本としている。資格要件には財務状況や収容定員充足率、社会における具体的な人材ニーズ、専門人材育成の実績等が設けられる予定で、特定成長分野の学生数拡充、学生確保の見通し、初中教育段階との連携、女子学生確保等が審査の観点とされる見通し。


 委員からは「グリーンとは脱炭素以外に何が対象になるのか」「短大は対象とはならないのか」など多くの意見が聞かれた。短大に関して同省は「対象外。別の形で支援していきたい」と語っており、また短大の4大への転換の場合は対象となる」との考えを示した。(3)は6年制課程の薬学部教育については設置・収容定員増を抑制すること。(4)はマネジメント指針に入学者選抜に係る事項を追補するもの。


1月25日の第171回大学分科会

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